大学基準協会の概要

会長挨拶

公益財団法人大学基準協会 会長 髙橋 裕子 津田塾大学長

公益財団法人大学基準協会 会長
髙橋 裕子(たかはし ゆうこ)
津田塾大学長

この度、大学基準協会の会長を拝命し、身の引き締まる思いでございます。2023年7月27日、会長選挙の際に、日頃から認証評価について考えてきたことを述べた所信の骨子もご紹介しつつご挨拶を申し上げます。

2016年から2019年まで本協会の評議員を、そして2019年から2022年まで理事、その後は会長に就任するまで広報担当の常務理事として本協会の業務に関わってまいりました。広報では、高等教育界を超えて、より多くのステークホルダーに本協会の事業を伝えられるようにと考え、大学の認証評価の成果を、高校の教員や生徒の皆様にも伝えるための企画も検討しているところでした。

大学の認証評価事業では、各大学のベテランの大学人が評価する側にまわり、また評価される側にも同様の大学関係者が配置されます。膨大な時間とエネルギーを要するこれらの活動成果は、認証という「評価のための評価」だけでなく、真に大学をより良くするためにもっと活用されるべきです。同時に、認証評価の具体的な情報は、高校生や大学生、社会人が、昭和の時代から続いている偏差値、倍率、志願者数といった数値に拘泥することなく、自身の成長によりフィットした大学・大学院選びに資するよう、生かされるべきではないでしょうか。

他方で、本協会は高等教育機関を評価する機関であるからこそ、自らの組織についても評価を受け、国際標準に対応できるようになることも必須です。この度、INQAAHE(The International Network for Quality Assurance Agencies in Higher Education)による国際的な認証を得たことは誠に喜ばしいことですが、よりいっそう国際的な通用性や互換性のある活動や取り組みを展開していかなければなりません。そのためにも、風通しの良い執行部とのフラットなコミュニケーションが不可欠です。これまでもそうであったように、協会自体にリベラルな文化を醸成し続けることが重要であると考えています。

日本の高等教育界の大きな課題の一つは、世界から圧倒的な遅れを取っているジェンダー平等です。2023年に発表された世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の教育分野において、識字率や初等、中等レベルの就学率でのジェンダーギャップについては世界で1位であるにも拘らず、高等教育レベルでは105位という評価を本協会としても看過すべきではありません。

これまで高等教育機関の多様性を尊重し、教育研究水準の向上に一定の役割を果たしてきた本協会が、日本の、そして世界の高等教育の前進にさらなる貢献ができるよう、皆様のご協力をお願いする次第です。