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理論と実践を架橋する「コンサルティング・プロジェクト」の充実

国立 一橋大学大学院 国際・公共政策研究部・教育部国際・公共政策専攻

2 教育内容・方法・成果

理論と実践を架橋する「コンサルティング・プロジェクト」の充実

一橋大学大学院 国際・公共政策研究部・教育部国際・公共政策専攻
種別 公共政策系専門職大学院認証評価
年度 2023年度
区分 国立
規模(収容定員) ~4,000人
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取組み事例

「コンサルティング・プロジェクト」において、講義で身につけた経済学等の理論や知識を実践的に活用できるよう、理論と実践を架橋する教育に努めている。一人ひとりの学生が各自の関心に合うテーマに個別に取り組むことから、プロジェクト全体では、最終成果としての報告書である「コンサルティング・レポート」の総計が各年15本前後となるが、そのように多くのプロジェクトが同時進行でありながら各学生に対する教員の支援も手厚く、分析の手法や過程においてクライアントに貢献できる内容となっている。さらに、現場での経験やそこでの気付きを修士論文等に発展させる事例や、クライアントであった地方自治体と協働して新しい授業を開講するなどの進展も見られることから、高く評価できる(評価の視点2-20、2-23)。

ここがポイント

  • 集団ではなく個別で、政策に関わるコンサルティングの仕事を疑似的に請け負って調査研究を行い、クライアントに貢献できる報告書を作成している。
  • 質の高い報告書を作成するために、ケーススタディやフィールドスタディを行いながら、指導教員がきめ細やかに支援・助言を行っている。
  • 政策に関わる理論や概念の学びを、自身の興味・関心のある分野で実践的に活かす経験ができ、修士論文に発展させる事例や新規授業の開講といった進展につながっている。

大学からのコメント

 2005年に本大学院を設立するための準備として、ハーバード大学ケネディー行政大学院を訪問した際に、実践的教育として導入されていた政策分析演習(Policy Analysis Exercise) について学ぶ機会がありました。それを本大学院でも実施可能な形に仕立て直したのが、コンサルティング・プロジェクトです。現在の教育学の手法で言えば、プロジェクト・ベースの学習(PBL)を通じて課題発見・課題解決能力を向上させることを目的とした教育プログラムと説明できるでしょう。
 本大学院の公共経済プログラムの2年課程のすべての学生が、学外の組織で仮想的にコンサルティングの仕事を請け負い、クライアント(受入機関)とのコミュニケーションを重ねながら調査研究を行います。そして、約半年かけて、クライアントに納得してもらえるような報告書を完成させることに取り組みます。
 コンサルティングのテーマや課題は、学生の希望を尊重することにしています。そのことが、学生がプロジェクトを最後までやり遂げるモチベーションとなります。ただ、そのテーマに関心を持つ外部の方をクライアントとして探すことが必要になるため、受入機関探しはなかなか大変です。学生自身が探してきたり、教員が持つネットワークを活用したり、関心を持って頂けそうな方をインターネットで探して「飛び込み営業」のような形でアプローチしたりしながら、受入機関を決めてきました。
 プロジェクトが始まると、学生は、教員の支援や助言も得ながら、大学院の講義等で学んだことを応用し、クライアントから高く評価されるような最終成果を生み出すことに取り組みます。学生が高いレベルの成果を生み出せるように、教員も、実践を意識した授業を1年次から行うことを心がけています。学生そして教員の負担は小さくありませんが、実践力の育成という本大学院のミッションの実現に貢献するようなカリキュラムの一つと位置付けています。

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