大学基準協会の概要

会長挨拶

公益財団法人大学基準協会 会長 永田 恭介 筑波大学 学長

公益財団法人大学基準協会 会長
永田 恭介(ながた きょうすけ)
筑波大学長

本協会は、第二次世界大戦後間もない1947(昭和22)年にアメリカのアクレディテーション団体をモデルに、当時の国・公・私立大学46大学を発起校として設立された団体です。その目的として「会員の自主的努力と相互的援助によって、わが国における大学の質的向上を図るとともに、大学の教育研究活動等の国際的協力に貢献する」ことを掲げ、設立以来、会員制を維持し、現在ではわが国の約6割の大学が会員となって運営されています。

これまで本協会では、新制大学のあり方を定めた「大学基準」の制定や各種の評価、調査研究などの諸活動を通じて、高等教育の質の向上に努めて参りました。2004(平成16)年に認証評価制度が導入されてからは、わが国初の大学機関別認証評価機関として認証を受け、その後、機関別認証評価及び専門職大学院認証評価の事業を徐々に拡大させて参りました。また、2017(平成29)年度からは獣医学教育評価事業をスタートさせ、専門分野別評価にも取り組んでおります。

近年、少子化による18歳人口の減少、グローバル化の進展、デジタルサイエンスの急速な進歩などに伴い、わが国の高等教育を取り巻く環境は大きく変容しています。2018(平成30)年11月の中教審答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では、こうした社会の変革に応じて、大学が多様性と柔軟性をもって教育の充実を図っていくことが必要であるとされています。また同時に、大学が自らの教育の質を保証し、適切な情報公表とあわせて社会に説明する責務を果たすことを、改めて強く求めています。これらにより、当然ながら、質保証機関としての本協会の責任・役割も一層大きくなっています。

例えば、加速度的に進展するグローバル社会において国境を越えて提供される多様な教育プログラムを適切に評価し、その質を保証していくためには、各国・地域の質保証機関との一層の連携が求められます。また、国内に目を向けても、新たに創設された専門職大学・専門職短期大学の質保証のあり方や、「設置認可―アフターケア―認証評価」という一連のプロセスにおける個々の機能及び接続性の強化、学位プログラム制度の導入への対応など検討すべき課題は山積しています。

こうした課題に対して、本協会では、各種の評価活動に加え、2018(平成30)年度に設立された「大学評価研究所」における調査研究を通じ、対応していきたいと考えています。そして、この調査研究の成果を評価システムの改善に役立てるとともに、適宜、会員大学に対してフィードバックを行い、大学の質的向上に寄与していく所存です。そのためには会員大学をはじめとする高等教育関係者、さらには関連領域の専門家の方々の協力が不可欠であり、より一層のご支援をお願い申し上げる次第です。

(2019(令和元)年8月)