大学進学をお考えの方・
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大学評価について
皆さんは、気になる大学があった場合、どのようにして情報を集めますか?大学ホームページやパンフレット、紹介動画等でしょうか。今や、インターネットを通じて手軽に多くの情報を得られる時代になりました。ただ、これらの情報の多くは大学自身が作成したもの、もしくは、個人が発信した言わば主観的な意見・感想等になっています。
そのような中で、唯一、第三者(他大学の教員や職員)が大学の優れた点や課題を評価するのが、私たちのような評価機関が行っている大学評価(認証評価)です。
大学評価結果は、評価基準に基づいて、評価者が客観的に評価した内容が得られる、貴重な情報源であると言えます。
あまり知られてはいませんが、すべての大学は、7年以内に1回、文部科学大臣が認証した評価機関が行う評価(認証評価)を受けることが法律で義務付けられています。
私たち大学基準協会は、文部科学大臣から最初に認証された評価機関であるとともに、わが国で最も歴史のある評価機関(創立は1947年)で、大学からの申請を受けて、毎年数十大学の評価を行っています。
評価結果は、本協会のホームページで公表しています。ただ、1大学につき20~40ページ程あり、専門用語も含まれるため、一般の方には読みにくく感じることもあるかもしれません。
そこで今回は、評価結果の読み方のコツについてご紹介していきたいと思います。
大学評価についてのFAQ
大学関係者ではない一般の人々にとって、大学評価というのは、まだあまり馴染みのないものではないかと思います。友人や知り合いに何の仕事をしているのか聞かれた時、概略を説明しても、「評価をして大学をランキングしているの?」とか、「問題のある大学を見つけ出すために評価をしているの?」などと聞かれることも珍しくありません。そこで今回は、よく聞かれる大学評価についての5つの質問についてお答えします。
大学評価は何のために行うの?
簡単に言えば、優れた点はさらに伸ばし、課題は改善を促すことで、大学により良くなってもらうために評価を行っています。大学は、自らが定める教育目的に沿って教育を行い、学生を成長させて社会に送り出す役割を担っています。ですから、評価を通じて大学を良くするということは、学生のためと言っても過言ではないと思います。
実際に本協会が示している大学評価を行う目的は、以下の3つです。1つ目は大学の質を社会に対して保証すること、2つ目は大学の改善・向上を支援すること、3つ目は大学が果たす説明責任を支援すること、です。
誰が評価しているの?
基本的には、本協会の正会員大学の教職員が評価者となり、他大学の評価を行っています(これをピア・レビューといいます。)。毎年、大学から評価の申請を受けて、その大学の設置形態(国・公・私)や規模、特性、地域性等を考慮し、予め評価員の候補者として登録されている教職員リストから評価者を選定します。1つの大学につき、教員4名、職員1名の計5名で評価チームを編成しています。
どうやって評価しているの?
評価を受ける大学は、予め自らの活動を自己点検・評価し、その結果を点検・評価報告書としてとりまとめて本協会に提出することが求められています。評価者は、この点検・評価報告書を読み込み、教員数や学生数といった各種データや点検・評価報告書のエビデンスとなる膨大な根拠資料を確認しながら、大学が自らの理念や教育目的の達成に向けて何を行っているのか、その達成のプロセスや成果をみていきます。
また、評価においては、点検・評価報告書や各種根拠資料を用いた書面上の評価だけでなく、実際に大学を訪問して、教職員等と話す機会(実地調査)を設けています。
詳しくは、公式note内に掲載している#3「大学評価はどのように行われているの?」をご覧ください。
大学は評価を受けないといけないの?
1947年に設立された本協会は、これまで長きにわたって評価を行ってきましたが、しばらくの間は質の向上を目指す大学が自身の判断により任意で評価を申請していました。しかし、学校教育法の改正により、2004年度からすべての大学は7年以内に一度、評価(文部科学大臣が認証した評価機関による評価)を受けることが義務付けられ、現在ではすべての大学が必ず評価を受けなくてはならなくなっています。
大学基準協会が行う大学評価は、他機関が行う大学評価と何が違うの?
文部科学大臣から認証された評価機関は複数あり、評価機関ごとに評価基準や評価システムが異なります。本協会は、最も歴史のある評価機関として、これまでの評価の経験やノウハウ、また調査研究事業の成果を踏まえ、より適切な評価を目指して改良を重ねています。
例えば、現在、大学自身が自らの活動の質を保証する「内部質保証」の考え方が重視され、各評価機関は大学の内部質保証について評価を行っていますが、この「内部質保証」の評価をいち早く取り入れたのが本協会です。
また、丁寧で的確な評価に対しても、評価を受けた大学から好評いただいています。
評価結果について
評価結果の構成を知る
本協会の大学評価(認証評価)結果は、次の3つのパートから構成されています。
- ・Ⅰ 評価結果
評価基準である「大学基準」に適合しているか否かが書かれています。適合している場合は、認定期間(7年間)も記されています。 - ・Ⅱ 総評
全体の評価結果から、重要な点を1~2ページ程度に集約したものです。ここには、大学の理念・目的、内部質保証※の状況、教育内容・方法の概要や特色に加え、その大学の優れた点や主な問題点などもまとめられています。 - ・Ⅲ 概評及び提言
10ある評価基準ごとに、「概評」と「提言」(長所、改善課題、是正勧告)でまとめられ、評価結果の大部分を占めています。また、「概評」は、「点検・評価項目」と呼ばれる複数の項目ごとに書かれています。
1つ注意していただきたいのは、大学評価はランキングのように他大学との比較で行うものではなく、その大学自身の理念・目的に沿って行うものであるということです。それゆえ、長所が多いことは優れた取組みが多いことに違いありませんが、長所の数が多いほどより優れた大学であるというように、提言の数だけで他大学と比較することは適切ではありません。
あくまで、個々の大学の優れた点や問題点を把握するのに活用してください。
大学の長所・特色
検索の活用方法
本協会の評価結果は、評価の対象となる大学の関係者ではない他大学の教職員等が本協会の定める評価基準に基づいて客観的に評価した内容であり、そこで取り上げられた各大学の「長所」「特色」は、他大学の教職員等である評価者から見て、その卓越性が認められた取組みであるといえます(つまり、同業者からのお墨付きということです!)。
評価結果を読みたいけど時間がない方や読んでみたけど専門用語が多く難しいとお感じの方は、まずこの検索ページを活用いただき、各大学の「長所」「特色」を確認してみてください。あの大学の意外な特長を発見できるかもしれませんよ。
大学評価結果の活用方法
大学数の増加や入試制度の多様化などで、高校生の大学選びは以前よりも複雑になってきています。せっかく入った大学を中退する学生が年間約6万人いることや、中退はしないまでも大学に馴染めないケースも少なくないことから、自分に合った大学選びの重要性はますます高まっています。
大学選びにおいては、信頼できる情報を得て、興味のある大学について詳しく調べることが欠かせません。私たち認証評価機関が、第三者の視点で客観的に評価した大学評価結果を、皆さんにぜひ活用していただきたいと思います。
CASE 1
コロナが猛威を振るっていた時期、医学系のA大学がワクチンの臨床試験やPCR検査、大規模ワクチンの接種などに取り組んでいるという話をニュースで聞いて、素晴らしい取組みをしていると思ったものです。そういったことが、評価結果の「総評」部分にも特筆すべき点として書かれていました。
医学部を志望する生徒Aに、「A大学は、コロナで大変だった時期にこのような取組みをして、社会・地域に貢献している。地域に密着した医師になることを志しているのなら、こんな大学もあるよ」とアドバイスしました。こういったことは偏差値やランキングからは分からないことです。評価結果を用いることで、偏差値のみに頼らない進路指導が実践できた一例です。
CASE 2
生徒Bが、本校から遠く離れたB大学に進学したいという話を聞きました。この大学は特長的な教育活動を数多く実践しており、以前から様々なメディアで取り上げられていました。しかし、本校からの進学者が少ないことなどもあり、私自身、具体的な教育活動については詳しくありませんでした。
この大学の評価結果を読んでみると、「『多文化協働学習』が、当該大学の理念・目的を体現するものであり、教育の方法論として確立し、大学に根付かせていることは特筆すべき」と書いてあります。また、「教学委員会において授業の質の改善も進めている」ともありましたので、これらから教育の質がますます良くなっていくことが推察されました。評価結果からは大学の変革や質が分かります。
その結果、「大学基準協会に評価されている、素晴らしい教育を行っている大学だよ」と、生徒の背中を押してあげることができました。